卵生メダカ 稚魚の育成方法 〜水槽・餌・水換えのポイントを徹底解説〜

卵生メダカに大切な稚魚の時期

卵生メダカの繁殖について、孵化させるところまでは別の記事でご紹介しました。

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卵生メダカは年魚で約1年の寿命です。

卵から孵化して、あっという間に成長し、2〜3ヶ月で繁殖行動をし始めます。

特に孵化してからの1ヶ月は超成長期で、充分な餌を与えてできるだけ体格の良い個体を多く育成することがとても重要です。

この時期の成長度合いが、後々の成魚としてのサイズや産卵する卵の量に大きく影響するので非常に大切な時期です。

次世代の種親をしっかりと育てるためにも、稚魚はVIP対応で育てましょう^_^

卵生メダカの稚魚飼育に必要な環境

では、稚魚育成に必要な環境を作るには、どんな事に気をつければよいか具体的に見ていきましょう。

ポイントは大きく4つあります。

1.水槽

2.水換え

3.餌

4.エアレーション

5.水草

一つ一つ解説していきます。

1.水槽

まず稚魚用の水槽についてですが、その成長時期によって変化させていきます。

【稚魚用水槽の目安】

孵化〜2週間→ 産卵箱・サテライトまたは小型水槽(2L程度)

2週間以降    → 小型水槽

稚魚の数にもよりますが孵化して2週間程度は小さな容器でかまいません。というよりは、10匹以下であれば産卵箱やサテライト、または2Lくらいの水槽がベターだと思います。

稚魚・小型魚・隔離魚など多目的に使える外掛け式コンパクトボックス。W13×D6×H13cm

生まれたての稚魚は体長2〜3mmととても小さく、泳ぎも得意でないので行動範囲が狭いです。自分から餌を探して食べるのが難しいため、最初から30センチ水槽などに入れてしまうと充分な餌食いができません。

餌を食べるとどんどん成長しますが、体長が1センチ程度になるまでは小さな水槽内で餌が目の前に落ちてくるような環境が望ましいです。だから最初は少し小さめな容器がよいです。

2週間程度して1センチを超えるくらいになってからは、さすがに狭くなってくるのでもう少し水量がある小型水槽に引っ越しさせます。

私は稚魚育成の小型水槽として。2つのサイズの水槽を使い分けています。

メインとしては15センチキューブ水槽。

生まれたばかりの稚魚はわずか5mmにも満たない大きさでまだ遊泳能力も低いので、広すぎる水槽だと餌を探して見つけることができません。なるべく小さめの水槽でサイズ的に使い勝手のよいのが、この15センチ水槽です。

30センチの半分にあたる15センチというサイズは、水槽台の奥行きに対して手間と奥に2つ並べることができて、たくさんの品種の稚魚を別々の水槽で複数管理する時に便利です。

水を入れても3キロ程度の重さなので、上に置いて垂直に並べることも可能です。

超小型のキューブ水槽・ベタや超小型魚の飼育に最適! 4mmガラス使用、ガラスブタ(3mm)。

もうひとつは、25センチ水槽。

生後2週間くらいたって1センチ以上に育った稚魚や、稚魚の数が10匹以上と多い場合に使います。

こちらは、繁殖用のペア飼育水槽としてもちょうどいいサイズなので、兼用で使っています。

透明感にこだわるフレームレスガラス水槽 W25×H17×D21cm
また、いずれの水槽も素材はガラス水槽にしています。成長に合わせた水槽間の魚の入れ替え、こまめな水換え、病気が出た時には水槽丸洗い…など稚魚育成には水槽をラックから出し入れする機会が多いですが、その際にキズがつかず丈夫なことが理由です。アクリル水槽より水槽重量はありますが、小型水槽なので重さは持ち運びの許容範囲内です。

2.水換え

先に最初は小さな容器で育てると説明しましたが、小さな容器は水量が少ないため、毎日の糞や餌の残りで水質が悪化しやすいです。

飼育する容器や水槽によって水質維持の仕方を工夫してあげましょう。

1.産卵箱・サテライトの場合

別の水槽に設置して水を循環させるタイプの産卵箱やサテライトで育てている場合は、元の水槽の水を共有するため水質維持ができるので、水換え自体は必要ありません。

2.プラケースの場合

プラケースの場合は水の循環がないため、1/2の換水を週2回行うことをおすすめします。

換水の簡単なやり方としては、もう一つプラケースを用意しておいてそちらに水を半分移し替えます。その際に魚網で濾過するようにしながら稚魚を網で受けます。最初のプラケースに残った半分の水はそのまま捨てます。網に受けた稚魚は新しいプラケースへ入れます。稚魚は新しい水に比較的強いですのでこんな感じでオーケーです^_^

3.小型水槽の場合

30センチ小型水槽で育てるプラケースの場合は小さめのフィルターを設置する手がありますが、稚魚を吸い込まないよう注意が必要です。小型の目の細かいスポンジフィルターが安く市販されているのでおすすめです。

1〜3全ての環境に共通して大切なこと

基本的な水質は上記の方法で維持できますが、水槽内に日々の餌の残りや糞があると、狭い水槽では水の循環が追いつかず一気に水が汚れます。成魚同様ですが、毎日スポイトで水底の分類などの汚れをスポイトでガンガン吸い出してください。

稚魚は小さいのでゴミと一緒にスポイトで吸い込んでしまうことがよくありますので、吸い取った水は一度別の容器に入れて稚魚がいないかよく確認してから捨てましょう稚魚がいたら稚魚をスポイトで吸い込んで元の容器に戻してあげればよいです。

3.餌

ブラインシュリンプ一択です。

観賞魚稚魚用のエサに使用の小エビの卵。 アメリカソルトレイク産の孵化率良い商品。

稚魚は小さく餌食いに慣れていないので、より小さくて本能的に食欲を誘う生き餌が好ましく、手軽に入手できるブラインシュリンプを充分に与えればぐんぐん成長します。

ワームやゾウリムシ、ミジンコなど他の小さな微生物を与えてもよいですが、私は管理が楽なのでブラインシュリンプしか使いません。

ブラインシュリンプは水を汚しにくいのでガンガン与えてください。お腹がブラインでいっぱいでピンク色になるくらいに。

たださすがに半日しても残っているとか食べきれないようであれば与える量を調整してください。ここでも成魚同様、ラムズホーンを2〜3匹入れておけば、残ったブラインを食べてくれるのでなお安心です。

ブラインシュリンプは稚魚の時から成魚になるまで与え続けてもかまいませんが、体調1センチを超えたあたりからはアカムシにかじりついて食べれるようになるので、ブラインとアカムシを併用すると成長が早いです。

1センチを超えてもブラインだけで成長までさせると、成魚になった時の体長があまり大きくならないように感じます。また、産卵数も少なめな気がします。鑑賞用により小さいサイズに育てたいという方はお試しください^_^

ブラインシュリンプは卵(ブラインシュリンプエッグ)から孵化させて与えますが、この方法やコツについてはこちらの記事で詳しくご紹介します。

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4.エアレーション

卵生メダカの基本的な飼育方法としてはエアレーションは必ずしも必要ではありませんが、稚魚飼育ではできれば入れた方が安全です。

理由は、過密飼育であること。

卵を孵化させると10匹かそれ以上の数の稚魚が生まれるケースが多いと思います。上述のように稚魚の餌どりを優先して成長に合わせ水槽の大きさを変えていくと、基本過密飼育になります。

この場合、単純に一定の水量に対する酸素量が確保しにくくなり、どうしても酸欠になりがちです。また、直接酸欠にならなくとも、エアレーションしておくことで水の流れができ病気などが発生しにくくなります。稚魚は病気になると大概全滅することが多いので注意が必要です。

水の循環がある産卵箱・サテライト、フィルターを使っている水槽の場合は、それ自体がエアレーション効果があるので大丈夫ですが、プラケース止水飼育の場合はブクブクエアレーションをぜひ導入しましょう。

稚魚の数が2〜3匹と少ない場合は特にエアレーション無しでかまいません。

エアレーションについてはこちらの記事も参考にしてください↓

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5.水草

水草は入れておいた方がよいです。

光合成による酸素の供給で水質が安定します。また、稚魚は水草を隠れ家にしたり落ち着いた環境で過ごすことができます。

照明を使わない場合は、光が少なめで育つアヌビアスやミクロソリウムなどの陰性植物を使用するとよいです。照明使う場合はお好きな水草を入れてあげてください。

生後1週間の卵生メダカの稚魚の様子

稚魚の飼育環境についてはこれくらいにして、実際に卵生メダカの稚魚育成用の水槽の中を覗いてみましょう。

まずは、ノソブランキウス ギュンテリーの生後1週間の稚魚ちゃんたちです。

ちなみにギュンテリーの親はこちら。

こんなに立派になるのはまだ2〜3ヶ月先です^_^

ちっちゃーいです😄 まだ5mm程度。

まわりには餌のブラインシュリンプをたーぷり泳がせています。稚魚の餌はブラインシュリンプ一択です。生まれたてから食いつきがよく、栄養価が高いので成長スピードが早いです。

水槽の底では皆モグモグと忙しそうに食べています。

同じ稚魚でも黒っぽい子と白っぽい子がいるのが毎回不思議です。

この個体差はオスとメスの違いではないようです。

ブラインシュリンプをお腹いっぱい食べてお腹がオレンジ色!

どアップにしてみましたが、カメラの画素数が低いのかこれが限界…😅

整然と並んでいるように見えます。

今回の稚魚は同期で25匹も生まれました。一匹一匹は小さいですが水槽の中は賑やかです^_^

それでは、動画でも稚魚の様子をご覧ください。

また、もう一つ隣の水槽には 同じ日に生まれたノソブランキウス エガーサイ ブルーの稚魚がいます。

ギュンテリーとは色が全然違いますね。真っ白です^_^

ちなみに親はこちら。

やっぱり子供の頃からブルー系の特徴が出ていますね。

サイズはギュンテリーもエガーサイも同じくらい。まだまだ小さいです。

生後1カ月の卵生メダカの稚魚の様子

次は生後1カ月のノソブランキウス ラコビーの稚魚です。

ちなみに親はこちら。

いずれこんな素晴らしい色が出る日がくるとは信じられません。

今はこんなに地味です^_^

稚魚の時はみんなメスに見えますね。

こちらも餌のブラインをたっぷりあげています。

体長1センチくらいまで成長しました。

これから2カ月目が色が出て雌雄がはっきりしてくる時期です。楽しみです!

どアップはやはりピンぼけしちゃいますね。すいません😅

今回の稚魚は6匹。内、ベリースライダーが1匹と成長が遅く小さいのが一匹います。この中でうまくペアが取れればいいな、と思います。

ちなみに、ベリースライダーとは先天性の浮き袋の異常で卵生メダカではよく発生します。成長はしますが底をはうようにしか泳げない障害です。詳しくはこちらの記事で解説しています。

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それでは、稚魚ビーの様子を動画でご覧ください😄

ちなみに、稚魚ビーというのはラコビーの稚魚のことです。(勝手に命名😅)

みんなすくすく綺麗な成魚になってくれるのを毎日楽しみに観察しています。

癒される稚魚のアクアリウム

せっかく休眠期間を終えて生まれてきた稚魚ちゃん達なので、大切な成長期を精一杯ケアしてあげたい気持ちから、いろいろ細かく説明しすぎてしまいました^_^

育成するといっても、アクアリウムとしての楽しみを忘れてはいけません。成魚と違って派手さは無いですが、稚魚ちゃん達の泳いでいる姿を見ていると本当に癒されます。ぜひ成長とともにその可愛さも一緒に楽しみましょう。

最後にそんな癒されるシーンを動画でご紹介します!

 

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