エアレーションの極意 〜小型水槽での必要性と使い方 〜

エアレーションは必要か?

今回は熱帯魚飼育では定番のエアレーションについて掘り下げてみたいと思います。

私が初めてエアレーションを知ったのは、小学生の頃、お祭りの金魚すくいで金魚を持ち帰った時でした。とりあえずプラケースに入れて金魚の飼い方の本を読んで調べていると、金魚には酸素が必要だからエアレーションをするようにと書いてありました。

その頃と現在ではエアレーションの仕方は何も変わっていません。小さなエアポンプからエアチューブを引っ張って先端のエアストーンを水槽に入れてブクブクさせるだけ^_^

アクアリウムの飼育器具や用具はその頃に比べ格段に進化しました。水槽は枠なしのクリアなガラス水槽が安価で購入できるようになり、フィルターは投げ込み式の水作エイト的なものしかありませんでしたが今は上部式、外掛式、底面式、スポンジフィルター、外部フィルターまで飼育環境に合わせ多種多様な品揃えになっています。

それに比べてエアレーションはどうでしょう?未だにエアポンプからチューブにつないでブクブクやっています。何故でしょうか??

その最大の理由は、先に例に挙げたフィルターの進化だと思います。フィルターは水槽内の水を循環させて物理濾過を行い水質を維持することが一番の仕事ですが、もう一つ、水槽内に新鮮な空気を送り込むという副産物的な役割を果たしてくれています。

フィルターが循環させた水は空気中の酸素を取り込んで再度水槽内に送り込まれます。また、送り込む際の勢いで水面に流れができると水面全体からも酸素を取り込みやすくなります。これは外部式や外掛式など上から水面に水を送り込むタイプのフィルターではより期待できます。

そうです。そもそもエアレーションとは水中に空気を溶かし込むこと自体を指すので、フィルターがもたらすこの役割はまさにエアレーションなのです。

結論から言うと、水中に空気を溶かし込むという意味でのエアレーションは必要です。

では、私が昔からお世話になったあの一般的なエアレーション(エアチューブでのブクブクエアレーション)はもういらないのでしょうか?

いやいや、そんなことはありません。40年以上たっても未だに市販されているエアチューブやエアストーン。必要が無ければとっくにこの世から姿見を消しているでしょう。

実際、私にとっても無くてはならない心強い助っ人のような存在です^_^

では、ここからは小型水槽でエアレーションが活躍する場面を例に、その活用方法と具体的な使い方をご紹介します!

エアレーションが必要な場面と使い方

⬜️止水飼育の場合

卵生メダカ飼育では止水飼育をするケースがあります。止水飼育というのはフィルターを入れずに水槽内に水の流れを作らない飼育方法です。

繁殖用の小型水槽では投げ込み式や小型スポンジフィルターを入れる場合もありますが、水流が強くなりすぎるのでフィルターを入れずに飼育することがあります。

また、小型水槽を並べて数種類のメダカを飼育するような場合はフィルターの数も水槽の数だけ必要になるため、経済的な理由から止水飼育を選択する方もいます。

止水飼育はフィルターが無いため水の中の溶存酸素量は少なくなりがちです。それでも毎日、残餌や糞を吸い出すときに減った水量だけ酸素いっぱいの新しい水を加えてあげれば卵生メダカは止水飼育で飼育できるのですが、ついついサボりがちな方もいるかと思います。

そんな時、フィルターではなくエアレーションだけ入れてあげると酸欠の不安が解消されます。エアチューブを分岐させれば1台のエアポンプから数本の水槽へ空気を送り込めます。また、コックでエアの量を調整すれば最小限必要なだけの水の流れを作ることができるため、小型水槽への酸素の供給という点ではフィルターよりも使い勝手がよいです。

⬜️過密飼育の場合

水槽内にたくさんの数の魚を泳がせていると、当然溶存酸素量が足りなくなります。

例えば30センチ水槽に10匹以上もメダカがいると少し心配です。

メダカは増える時はどんどん増えます。繁殖を計画的に行っていたとしても、卵が採れた分だけ孵化させて増やしてしまうものです。

時には一時的にでも30センチ水槽に20匹以上のメダカを泳がせなければならなくなることもあります。こんな時はもしフィルターを使っていたとしても酸欠になりがちです。

そんな時にはフィルターと併用してエアレーションを入れましょう。溶存酸素量を増やすという点ではフィルターよりエアレーションの方が効果が高いです。

⬜️夜間の水草水槽

水槽内の溶存酸素量を増やすには水草をたくさん入れておくと効果があります。水草が光合成により水中のCO2を吸収し酸素を放出してくれます。

しかしこれは光があたる日中の話。照明を消した夜間の水槽内では水草は光合成ができません。さらには夜間の光合成をしない水草は魚と同じように水中の酸素を消費してしまいます。

水草は植物なのでもともと酸素がないと生きていけません。光があたる日中は光合成により作り出す酸素量が上回るため酸素の供給係になってくれますが、夜は豹変するのです。

このため、夜間の水草水槽は水草の無い水槽に比べて酸素が不足する状態になります。水草はもとよりメダカも酸欠になるのです、その対策としてエアレーションです。

夜間だけエアレーションを入れて酸欠から回避させてあげましょう。

ひとつ注意点。夜だけでなく日中もエアレーションを入れてしまうと光合成に必要なCO2が減りすぎて水草の光合成にマイナス影響が出ます。水草の成長を考えた場合、日中のエアレーションはしないほうがよいです。

⬜️稚魚のプラケース水槽

卵を孵化させた直後から体長1センチくらいに成長するまでのサイズが小さい稚魚のうちは30センチ水槽では広すぎて持て余します。小さなプラケースで十分です。また、別に稚魚育成用の水槽を用意することができない場合もプラケースで代用することも多いです。

メダカの稚魚の場合、1〜3L容量の小型プラケースがコスパも良く使い勝手がよいです。ただそのように小さなプラケースではフィルターは大きすぎて使えないことが多いです。サイズ的にそもそもプラケースの中に入らないフィルターもありますし、入ったとしてもプラケースの半分以上をフィルターが占領してしまい見た目もイマイチです。

そんな時は容器のサイズを気にせず使えるエアレーションがおすすめです。プラケースの端にキスゴムでくっつけておけば目立たず快適に酸素供給ができます。

⬜️一時的な魚の移動時

大掃除で水槽を丸洗いするような場合は、水槽の水をバケツに汲み出してその中にメダカを一時的に移動させてから、元の水槽の水を全部捨てます。それから水槽を丸洗いして、新しい水を入れてから、バケツの水をメダカと共に元の水槽に戻します。そんな作業中、バケツの中で待っているメダカは酸欠になりがちです。

水換えでなくても、メダカを別の水槽に移動させる前や、新しく導入したメダカを水合わせのためにバケツや別の水槽に一時的に入れておく場合、メダカは同じように酸素が不足する環境に置かれてしまいます。

このように一時避難時させている時、時間は短くともメダカは体調を崩しやすいものです。数分や数時間、メダカが一時避難しなければならない場合はエアレーションを入れて酸素を供給してあげましょう。

⬜️夏場の酸欠防止

夏の暑い時季は水槽の水温も上がります。

水温が上がると水中の溶存酸素量は減っていきます。また、高温下では水中にいるバクテリアも酸欠で死滅し減っていくため、水質悪化も同時に起きる要注意な時季です。

そんな夏場に頼りになる助っ人がエアレーションです。直接的に溶存酸素量を増やすことができるので速攻性があり必需品になります。

夏場の高温対策についてはこちらの記事でより詳しく解説していますので合わせてご覧ください。

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⬜️病魚の塩浴・薬浴時

メダカが体調を崩したり病気になった時は体力回復と治療のために、塩浴や薬浴を行います。病魚を隔離してその水槽の水に塩または病魚薬を入れて調子が上がるのを待つのですが、これには1〜2週間かかることもよくあります。

塩浴や薬浴の際は餌もやめて光も暗くしてじっと安静にさせるのですが、当然水草も水槽に入れられないので光合成にも期待できず、溶存酸素量が少なくなります。

魚の回復を早めるためにも、ごく弱めのエアレーションを入れて環境を整えてあげるのが効果的です。

塩浴や薬浴などメダカが病気の時の治療法についてはこちらの記事で詳しく解説していますのでよろしけばご覧ください。

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⬜️気泡を演出に使う

これまで主に水槽内の溶存酸素量を補い酸欠を防ぐためにエアレーションを活用する場面をご紹介してきましたが、最後は前向きな使い方です^_^

水槽内の演出にはさまざまものがあります。バックスクリーンを変えたり、レイアウトを工夫したり、飾りになるオブジェや流木・石などを配置したり…。

その演出にはエアレーションも一役買ってくれます。エアストーンからでるブクブクの気泡が水底から水面に登っていく姿はまるで滝のようで綺麗です。

普通のエアストーンでも石や水草の後ろ側に配置することでエアが立ち上がるような爽やかな演出ができますが、ビジュアル的にはシャワーのような細かい気泡を出すエアストーンを選ぶとさらに雰囲気がでます^_^

何と言っても一番のおすすめは「エアカーテン」です。エアカーテンは棒状の長さのあるエアストーンで、エアを幅広い範囲に一斉に立ち上がらせることができます。水槽の背面に置いてエアポンプにつなぐだけでナイアガラの滝のような演出が簡単にできてしまいます^_^

水槽内に酸素を溶け込ませる分散器。自由自在に曲線配管ができ、特殊素材により泡が細かく効率が非常にすぐれています。

より快適にエアレーションを使おう!

いろいろな場面で大活躍してくれるエアレーションですが、使っていると不便に感じる事もあります。よくある悩みと、より快適に使うための対策を考えてみましょう。

●エアポンプの音がうるさい

エアポンプは電気を使ってモーターを回す構造のため、どうしても微音や振動が発生します。しかし最近の進化は素晴らしいもので静音タイプが主流で出回るようになり、ほとんど気にならなくなりました。エアポンプの音でお悩みの方はポンプを見直してみましょう。安い水槽セットに付属しているようなエアポンプとは比べものにならないくらい静かです。

私もいろいろ試しましたが、おすすめはこちらのエアポンプです。出力を最大にしてもほとんど無音で振動も感じません。

静かさと力強さの両立にこだわって開発された国内最高峰のエアポンプ

補足ですが、エアポンプにもいろいろとサイズがあります。小型水槽を複数使うメダカ飼育の場合、大きめの出力のエアポンプを選び複数の水槽にエアチューブを分岐して使うと経済的です。先に紹介した「水心」シリーズも大きく分けて3つの大きさが選べるエアポンプですが、私は真ん中の3Sを使っています。3Sは45〜60センチ水槽向けのタイプですが、これ1台で5本の小型水槽に分岐させて使っています。

●泡のブクブク音がうるさい

エアポンプの音とは別にもうひとつ気になる音があります。ブクブクエアレーションと言うくらいで、エアストーンから出る気泡が発生させる音は結構気になります。

ブクブク音がするのはエアストーンから出る泡の粒が大きいからです。この対策としては、エアの出力を弱くするか、エアの泡を細かくする方法があります。

エアの出力を弱くする方法は、出力調整ができるエアポンプであればツマミをひねるだけですし、エアチューブにエアコックを取り付けて調整できるようにすればよいので簡単です。

ただ、エアがあまりにも弱すぎてはそもそものエアレーションの意味がなくなり本末転倒です。エアの量に左右されずにブクブク音を小さくするには、エアの泡を細かくする方法が一番です。

細かい泡はエアストーン選びで実現できます。おすすめのエアストーンをご紹介しておきます。

微細な泡を均一に出すエアストーン
セラミック製なので非常に丈夫で、成分の溶出もなく安心
#180はセラミックに空いている孔(気孔)の大きさを小さくしたタイプ

「いぶき」には#100と#180の2タイプがあります。#100だと気泡の細かさは他のエアストーンとほとんど変わりません。細かい泡を出したい方は必ず#180を選んでください。

●水流が強すぎる

小型水槽でのエアレーションでは水量が少ないためどうしても水流が強くなりがちです。一方で卵生メダカは強い水流を好みません。こんな時どう対策したらよいでしょう?

前の項目で説明した通りエアの出力を弱くするとしても、あまりにも弱すぎてはそもそものエアレーションの意味がなくなります。そんな時はエアストーンの取り付け位置を工夫することで改善できます。

エアストーンは一般的には水槽の底の方に設置しますが、水面直下の高い場所にキスゴムで取り付けてみましょう。水面は波紋や流れができますが、水槽の中層から低層は水の流れが緩やかになります。ノソブランキウスなどの主に中層から低層を好んで泳ぐメダカには居心地のよい環境です。

一方で、流れができたは水面は空気中から酸素を取り込む量が増え、酸欠防止にはうってつけです^_^

●エアチューブが複数必要で管理が大変

複数の小型水槽にエアレーションを入れていると、エアチューブも水槽の数だけつなぐので絡まったりして管理が大変になります。これは家電製品の配線を束ねる時と同様、結束バンドやビニタイなどで要所要所をまとめて整理すれば解決できます。

エアチューブを各水槽へつなぐ作業は、一度行ってしまえばそんなに頻繁な変更が発生するわけではないので、最初にエアチューブをつなぐ段階での整理が大切です。

一方で、水槽一本一本に対してエアの出力量を調整をしたくなる場面は結構あるかと思います。そんな時はエアチューブの分岐についているエアコックのツマミをひねって行うのですが、複数の水槽にエアレーションをつないでいる場合、どのコックがどの水槽につながっているのかが非常に分かりにくなります。

この問題を解決するためには、分岐(コック)をあちらこちらで何個も使わずに、ひとつの分岐に集約して管理することが大切です。また、分岐の形状にこだわりわかりやすく管理する必要があります。

一元管理に最適な形状の分岐をご紹介します。

内径4mmチューブ(外径6mmチューブ)用の多分岐連結コック。各コックをひねって流量調節可能!
これを選んだポイントは次の通りです。
●将来に水槽の数が増える可能性を含めなるべく多くの水槽にエアを出力できるよう、今の水槽の数よりも余裕をもった多分岐のタイプであること
●それぞれのコックが一列に並んで配置されているため、水槽の並び順に合わせて端から使っていけば、視覚的にどのコックがどの水槽に対応しているかが一目瞭然であること
全部のコックから10本の水槽につなげられますが、その場合はエアポンプも出力量の多いものが必要になります。
以上、今回はエアレーションについて実際の使用例を挙げて具体的にご説明しました。
やっぱりエアレーションにはこれからもずーっとお世話になりそうです^_^

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