憧れの水草いっぱいの森
アクアリウムといえばカボンバやハイグロフィラなど有茎草をいっぱいに植生させて森林を作るのはアクアリストの夢ですよね。
熱帯魚と水草はやはり切っても切れない抜群の相性で、私も長年の熱帯魚飼育歴の中で水草水槽に何度もチャレンジしてきました。
魚に合わせた環境を維持しながら水草を育成していくのにはコツが必要で、どちらかというと魚メインになり水草がうまく育たなかったり、逆に水草メインにすると魚が維持できなかったり、アクアリストには永遠の課題かもしれませんね。
別の記事で紹介したように、私は卵生メダカをベアタンクで飼育しながら、この水草育成との共存に日夜知恵とチャレンジを繰り返しています^_^
工夫して好きな水草を育てよう!ベアタンク水槽での水草育成については、制約がありながらも工夫しながら実現可能だとご説明しました。卵生メダカを育てながら、自分の好きな水草を植えたい気持ちも大事にしたいですよね。今回は私が試行[…]
前回は簡単にできるベアタンクでの水草育成をご紹介しましたが、もっともっと水草が茂った水槽でメダカを泳がせてみたい、でもベアタンクにはこだわりたい、という方のために私のメダカ森林水槽の作り方を紹介します。
トリミングや水換えも楽チンなのでおすすめですのでぜひご覧ください。
ベアタンクでの水草の森の作り方
まず用意するものはこの3つです。
1.ガラスポット
2.ソイル
3.水草
森の作り方というと大変なように思いがちですが、簡単に言えば水槽の中に植木鉢に植えた水草を入れておくだけです^_^
最近流行りのボトルアクアリウムをイメージしてみてください。
ボトルアクアは好きなガラスボトルに入れた砂に水草を植えて作ります。これをメダカ水槽の中に沈めると、水草はメダカ飼育でバクテリアが活き活きと繁殖した水の中で育ち、ボトルの中の砂は水槽内に散らばる事なくベアタンクを維持できます。
では用意するもの一つ一つを、もう少し詳しく説明していきます。
1.ガラスポット
別の記事で簡単なベアタンクでの水草育成について、小さな素焼きの植木鉢やマルチリングを利用した有茎草の育て方をご紹介しました。
ただ、小さな鉢やマルチリングでは、植えることはできても水草をグングン成長させるには栄養吸収の面で底砂と同じ環境にはなりません。特に森を作る有茎草は根から栄養を吸収するため、やはり充分な量の砂に植え込む必要があります。
そこで、少し大きめの、だけど水槽の中に入るサイズのポットを用意します。
ポットを選ぶ時のポイントは3つあります。①サイズ、②材質・形状、③見た目です。
詳しく説明する前に、私のおすすめのポットをご紹介しておきます。
なぜこのポットを選んだのか? 一つ一つ解説します。
①サイズ
私は45センチスリム水槽で水草を育成していますが、その水槽に後景草として水草が生える部分の面積を考えてその面積にポットを置けばよいわけです。
ただ、水槽背面を水草が覆う森にするとしても、幅45センチのポットは大きすぎてメンテナンスがやっかいになります。あとそんなに都合のよいサイズのポットもありませんし、レイアウト変えたくなった場合も困ります。
ですのであくまで水草成長に充分な根張りができるサイズでなるべく小さなポットを選ぶ事をおすすめします。ただ、底面積は小さくてよいですが、水草が根を張る深さだけは必要となるので、有茎草の根が3センチとしてその倍の6センチ以上の深さがあるものをおすすめします。
私は先にご紹介したような大きさのガラスポットを使っています。幅や高さ違いのいろいろなタイプが市販されていますので自分の好きなサイズやデザインを選ぶのも楽しいです。
これを複数個用意して一つ一つ水槽に沈めていくことで背面に好きなようにレイアウトできます。ちなみに私は45センチ水槽に6個使っています。
②材質・形状
水草を植えたポットを水槽に沈める時、またトリミングやレイアウト変更の際に水槽からポットを取り出す時、強度が弱いと手で持った時に水草や中の砂がこぼれます。
また、水換えや水槽掃除の際に水槽から出さずとも水槽内をいじりますが、この時もポットに安定感がないと倒れたりこぼれたりしてやっかいです。
市販のポットにはさまざまな材質のタイプがありますが、ビニールやプラスチックでやわらかい材質の物は避けたほうがよいです。私はガラス製を使っていますが固めの材質で困ることはありません。
また、ポットといえば素焼きが多いですが、肝心なのは砂が水槽内にこぼれない事なので、植木鉢のように底に穴が空いているタイプはNGです。鉢底を石や網で塞いでもポット移動時に不安定で必ずこぼれますので避けたほうがよいです。
固くてしっかりしたコップやグラスタイプのような形状がベストです。
③見た目
見た目はそれぞれ個人の趣味やセンスでよいのですが、やはり自分のアクアリウムのイメージにあったものが良いでしょう。
ポットの上は水草で覆われて森を作り綺麗ですが、ポットの部分は水槽正面から見える場所なので完成図をイメージして選んでください。
おすすめはベアタンクということで水槽底面のクリアさと親和性が良い透明なガラス製ポットです。
ただ、透明なポットは中の砂や根が見えますので、それが嫌という場合はポットの前に前景になる水草や石・流木を置いて隠すとよいです。
ちなみにこのポットはそのまま年魚の繁殖の産卵床としても使えます。中にピートを入れて水槽に沈めておけば透明なので産卵シーンもしっかり確認できておすすめです。
※繁殖について詳細はこちらの記事で解説しています。
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2.ソイル
次にポットの中に入れる砂ですが、一択でソイルをおすすめします。
水草の森を作る目的ですので、大磯などの砂では栄養分が不足しがちです。栄養分をたっぷり含んだ水草育成用のソイルを使いましょう。市販のソイルは卵生メダカの飼育への影響はありません。
私のおすすめは、ベアタンクでの育成実績がありコストパフォーマンスが良いこのソイルです。
水草が必要とする養分(ヨウリン酸、硫酸カリ)を配合、水草の根がぐんぐん良く伸びます。
さらに、バクテリアが繁殖、定着しやすいので水がすっきり、透明になります
どうしてもソイル以外の砂を使いたい場合は、底砂に注入するタイプの水草育成用栄養剤を定期的に注入して栄養不足を補完してください。
3.水草
水草は有茎草であればなんでも植栽可能ですが、森のように茂るようなグリーンの鮮やかものが似合います。しかも枝のように茎が分かれて増えていくタイプだと、それぞれの茎や葉が重なり合うように育ち森林感が増します。
また、最初から水槽いっぱいに茂るほどの水草を購入するのはお金がもったいないので、少ない株数を購入して水槽内で育てていくのが現実的です。そのため成長が早いものを選ぶとよいでしょう。
私が今気に入って使っているおすすめの水草は、ラージパールグラスとグリーンロタラです。
これらは比較的安価ですがあざやかな緑色になり、なにより成長が早い水草です。また、成長時に別の茎を出してどんどん増えていくのでボリュームが出やすいです。
他にもみなさんお好きな有茎草で試してみてください。
綺麗な森を作るポイント
ポットにソイルを入れ水草を植え込んで水槽に入れれば森林化のスタートです^_^
ただ、綺麗に生茂る水草の森を作るポイントがあるので参考にしていただければと思います。
①水草の植え方
水草はポットの中のソイルに根を張って成長しますので、根がしっかり張る深さが必要です。しかも水槽底面に敷きつめる場合と違ってポット内でしか根が張れませんので、横ではなく縦に深く根を張っていきます。
このため、ポット内の水槽のソイルは最低でも3センチの深さは入れてください。
②トリミング
水草は基本、上へ上へ成長するものが多いため定期的なトリミングが必要になります。
水草によりトリミング方法はいろいろありますが、先に紹介したラージパールグラスやグリーンロタラのような茎が分かれて成長するタイプは、伸びてきた上部をカットしてカットした部分をソイルの空いたスペースに植え込む事で株分けしどんどん増えてきます。
トリミング時は、ポットごと水槽から取り出して、床屋さんになった気分で伸びた部分をザクザクとハサミでカットし、カットした茎を隙間に植え込みます。そしてまた水槽に戻せばオーケー!すごく簡単で水を汚しません。
③光量の確保
そもそも論になりますが、水草の光合成に必要な光量を確保できる照明器具が必要です。こちらは別記事で詳しくご紹介していますのでご覧くさい。
小型水槽での熱帯魚飼育に照明やライトは必要か?小型水槽を複数並べて熱帯魚を飼育されている方も多いかと思います。水槽の数が増えてくると全ての水槽に照明を用意するのはコストもかかるし、なかなかちょうどよいサイズのライトが無かったりと、悩むこ[…]
④CO2の添加
絶対必要ではありませんが、あったほうが良いのがCO2添加による光合成促進です。
始めは数株から育てると書きましたが、水草の成長スピードが格段に違いますし、森完成時の水草のグリーンが綺麗です。
私も初めて添加した時は、こんなにも違うのか!と驚きました。初期費用はかかりますがそれ以上の充分な価値はあると思います。CO2添加にはいろいろな方法があり専用のキットも販売されているので、予算と自分の水槽環境に合わせて選ぶとよいです。
CO2を添加した水槽で水草がいきいき光合成している姿をこちらの記事で紹介しているのでぜひご覧ください。
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⑤水槽の深さ
こちらもできればですが、水槽の深さは浅い方が水草の茂みや森が早くできて見栄えが良いです。また、トリミング時にポットの出し入れもしやすいので一石二鳥です^_^
小型水槽であれば問題ありませんが、45センチ以上の水槽であればスリム水槽、またはロータイプの呼称で販売されている水槽をおすすめします。
水草の森にメダカを泳がせよう!
以上、ベアタンクでも水草いっぱいの森を作ることをご紹介しました。
こちらがご説明した私の水槽の水草が森になっていく経過です。
CO2を添加してトリミングを2回、2カ月でこうなりました。
カラフルな卵生メダカは水草によく合います^_^
この水槽に、卵生メダカのノソブランキウス ラコビーを群泳させてみました。
※ちなみに、ラコビーについての紹介記事はこちら。↓
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私は言わずもがなの卵生メダカフリークですが、特にラコビーには思い入れがあります。熱帯魚界では古くから難種とされてきた経緯(現在流通している個体は飼いやすいですが…)、熱帯魚界の宝石と言われる華やかなビジュアル…。
種別でのペア飼育がメインになりがちな卵生メダカを、群泳、それも水草いっぱいのアクアリウムに活き活きと泳がせることは夢でした^_^
それでは、私の夢のラコビー水草群泳シーンをご覧ください。
正直、卵生メダカの色彩を楽しむには弱めの照明をあてた方がより色が濃く見えてよいと思いますが、水草と共存という点で明るめの光をあてています。水草は左がラージパールグラス、右がグリーンロタラです。
また、モコモコした森のような雰囲気を出すには有茎草ではなくウィローモスを使う方法もあります。ベアタンクでのウィローモス管理にはウィローモスマットを使う方法がおすすめですのでこちらの記事もぜひご覧ください
ウィローモスの魅力ウィローモスは熱帯魚飼育で昔からよく使われる水草です。いや正確には水草ではなくて苔ですが…^_^水草を選ぶ時に、どこの熱帯魚店でも扱っているので入手しやすく、価格も手頃で、幅広い水質に対応してくれるので育てやす[…]
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リシアの魅力と特徴リシアはアクアリウムの前景用に使われる水草で、明るい緑色の芝生のような水面レイアウトを演出することができるためとても人気があります。正確に言うとウキゴケという苔の仲間ですが、一般的には水草として扱われていますの[…]
みなさんもベアタンクだからとあきらめずに水草の森を作ってみましょう!