ウィローモスの魅力
ウィローモスは熱帯魚飼育で昔からよく使われる水草です。いや正確には水草ではなくて苔ですが…^_^
水草を選ぶ時に、どこの熱帯魚店でも扱っているので入手しやすく、価格も手頃で、幅広い水質に対応してくれるので育てやすいことから、初心者にも人気の種類です。
また、他の水草と違うウィローモスならではの魅力があります。
⬜️独特の形状
まず、その形状です。水草にはハイグロフィラなどの有茎草、アマゾンソードなどのロゼッタ状の水草、ミクロソリウムなどの活着系の水草などさまざまなタイプがありますが、いずれも植物なので根や茎があり、それらを伸ばして主に光の当たる上へ、種類によっては横にランナーを出して成長していきます。
一方、ウィローモスは苔なので、根も茎もありません。モス自体が葉のようなもので、四方八方に葉先を伸ばし成長していきます。成長の方向性は読めず、水中に塊を沈めておくと一回り二回り全体が大きく広がるように成長していきます。
⬜️成長が早い
水草は種類によって成長の早いもの、遅いものがありますが、ウィローモスは比較的早い部類に入ります。そのため、少量を導入して増やす形で維持していくのに向いています。逆に増えすぎるため気をつけないと先に述べた独特の形状と相まって水槽内をウィローモス一色にしてしまいます。整然とした水槽レイアウトを維持したい場合は配置の仕方などに工夫が必要です。
⬜️光量をあまり必要としない
ウィローモスは苔なので、少ない光でもグングン成長します。もちろん光量が強ければより成長スピードは早まりますが、照明が無く薄暗い環境でも枯れずに維持することが可能です。
卵生メダカとウィローモス
ウィローモスは強い光を必要としないため、卵生メダカの飼育水槽に合っています。
特に繁殖用水槽では、落ち着いた環境を作るため照明は弱めまたは無しであるとメダカは安心して繁殖に勤しむことができますが、このような水槽では普通の水草は枯れてしまうことがあります。馴染むのはアヌビアスナナ、ミクロソリウムくらいでしょうか。
そんな水槽にはウィローモスはもってこいで、成長スピードを抑えながら森のような雰囲気を出してくれます。
ただ、ひとつ気をつけなければいけない点があります。
ノソブランキウスなど卵生メダカの年魚は、通常、ピートモスを入れた産卵床(グラスなど)を水槽に入れておくとそこに産卵します。ところが、水槽内の底面または底面にピートモスが敷きつめてあるとそこを産卵床として産卵してしまうことがあります。
産卵後は産卵床ごと乾燥させて休眠させるのですが、ピーとモスと違い、ウィローモスは乾燥して保管しておくと枯れたり腐ったりして卵が死滅したり消える原因になります。
繁殖用水槽にウィローモスを入れる時は、石などの上に置くなど床に直接敷きつめないような工夫が必要です。
アフィオセミオンなどの非年魚に水草に産卵させて水槽内で自然繁殖させる場合は、特に気をつける必要はなく、ウィローモスを好きなように水槽に入れても大丈夫です。
ウィローモスマットの作り方
ウィローモスはただそのまま水槽に入れておいてもよいですが、レイアウトのバランスや繁殖との兼ね合いを考えて工夫すると扱いやすくなります。
おすすめはウィローモスマットを使う方法です。
ウィローモスマットとは、ウィローモスを形のしっかりした平たいマットにくくりつけて使う方法で、水中でふわふわと漂うように成長するウィローモスの成長の土台を作り、その居場所を安定させるのにとても便利です。
市販でも入手できますが、自作のほうが自分の水槽に合わせてカスタマイズできてコスパがよいので自作をおすすめします。
ここからは簡単な作り方をご紹介します。
⬜️用意するもの
・鉢底ネット
・ビニタイ
・ウィローモス
・ハサミ
鉢底ネットは園芸で使う植木鉢の底から土が流れ出ないように敷くネットです。工作するのでこのようなプラスチック製のものを用意してください。
ビニタイは鉢底ネットの穴を通るサイズであればどのようなものでもよいです。
ウィローモスもいろいろ種類がありますが、これもお好きなものでよいです。ちなみにわたしは南米ウィローモスを愛用しています。葉の広がり方が三角型にやや規則性をもって育てのでその見た目とボリューム感が気に入っています。
⬜️形とサイズの決定
まず出来上がりの形とサイズを決めます。
形は基本、正方形でも長方形か。※慣れればアレンジして丸でも星型でもいいです^_^
サイズもお好みですが、私は80mm × 80mmの正方形にしています。これは、私の飼育環境が25センチ小型水槽メインであること、ベアタンクでの水草育成用に水槽内で使っている鉢植えグラスが約80mmのキューブ上なのでサイズを合わせた方が見た目と使い勝手が良いと考えたからです。
気をつける点は、ウィローモスがネットを隠すまで成長するのにある程度時間がかかるので、ネットが大きすぎると完全に隠しきるのが大変です。最初からウィローモスを多めに用意すると結構なコストがかかるので、小さめのサイズで始める事をおすすめします。
また、小さめなサイズでも、複数のウィローモスマットを作ることで広範囲をカバーすることも可能です。数枚を立体的に組み合わせることで森のような演出もできますし、レイアウト変更の際の柔軟性も担保できます。
⬜️作り方
ここでは正方形のウィローモスマットを作るイメージで説明します。違う形の場合はアレンジして作成ください。
①鉢底ネットを2枚切り出す
まず、鉢底ネットをハサミで必要なサイズに切ります。鉢底ネットはハサミで簡単に切れますので、決めたサイズを計ってザクザクと切ります。この時、同じサイズ、同じ形を2枚切り出してください。
②2枚を合わせてコーナーをビニタイで留める
同じサイズ、同じ形の鉢底ネットを2枚ピッタリと合わせます。そしてコーナー(角)にあたる部分の鉢底ネットね穴にビニタイを通します。もちろん2枚を貫く形で通します。通したらビニタイを束ねてクルクルっと2回ほどひねり、余った部分はハサミでカットしてください。
ここで注意ポイント!正方形だとコーナーが4つありますね。まず、正方形の片側の辺の角2つだけを留めて、他の2箇所はまた留めないでおいてください。
③ウィローモスを挟み込む
次は、片側の辺どうしがくっついた2枚の正方形のネットの間にウィローモスを挟み込みます。片側のネットの上にウィローモスを薄く敷いて、もう一方のネットを上から被せる流れです。
ここでのポイントは、ウィローモスをできるだけ薄く敷きつめることです。厚みがあるとネット内でウィローモスが腐敗します。コツとしては、敷きつめる前にウィローモスを1センチくらいにハサミで細かくカットしてネットの上に平たく敷いていくと良いです。挟んでみるとウィローモスがネットの外側から全然見えないので、ついつい沢山入れすぎてしまいがちですが、最初は見えないくらいでよいです。成長するとネットね穴から出てきますから。
④残りのコーナーをビニタイで留める
最後に残った2つのコーナーを②の時と同じ要領でビニタイを通して留めてウィローモスマットの出来上がりです!
ベアタンクでのウィローモスの使い方
完成したウィローモスマットを水槽内の好きな場所にレイアウトしておけば、ネットの間に挟んだウィローモスは成長とともにネットの穴から葉を出していきます。
穴から葉が出たしたウィローモスマットの様子はこちらの動画でご確認ください。ラコビーがついばんだりして可愛いです^_^
ただ、最初は水槽の底面に沈んでいたウィローモスマットは、葉の成長とともにその浮力で水面に浮いてきてしまう場合があります。
こんな感じです。
ちなみに私は気にせずこのまま使ってたりしますが…😅
常に沈めて使いたい場合は下記いずれかの方法でおもりをつけるとよいです。
⬜️ウィローモスマットを沈める方法
🟠水草のおもりをつける
板状の水草の重り(釣りの板おもりでもよい)をウィローモスマットに外付けする方法です。つけるおもりの幅に合わせて下側になる鉢底ネットのマス目を一部ハサミでカットして差し込むようにすると簡単です。
🟠マットの中におもりを入れる
こちらは最初から中におもりになる物をウィローモスと一緒に挟んでしまう方法です。おもりは平たくて重さがあるものである必要があるので、板状の水草のおもりでもよいですし、おはじきを挟んでもよいです。
⬜️ベアタンクでの活用方法
ウィローモスマットは簡単に水槽内で置き場所を変えられるのが最大のメリットです。
ベアタンクで、底の糞や残餌を吸い出す時、水槽の掃除や水換えの時、簡単に水槽から取り出すことができて便利です。
また、殺風景になりがちなベアタンクのレイアウトにアクセントとして使うのにたいへん重宝します。具体的なレイアウトの使い方をいくつか見ていきましょう。
①底に敷いて前景にする
ベアタンクでは底砂が無いため水草の活用に工夫が必要です。そんな時、ウィローモスマットが活躍します。水槽の全面に数枚配置して前景として活用するのがおすすめです。浮いてくる場合はおもりを使って沈めてください。
②繁殖用水槽で使う場合
先に述べたように、ノソブランキウスなど卵生メダカの年魚の繁殖用水槽では、ウィローモスに卵を産みつけられてしまうとその後の卵の孵化の過程で腐敗などの問題が起きる可能性があります。
ウィローモスマットにしたところで産みつける可能性はゼロではありませんが、きちんとべつにピートモスを入れた産卵床となる容器をセッティングした上で、ウィローモスマットを1〜2枚入れる分には問題無いと思います。くれぐれも床に敷きつめるほど枚数は入れないようにしましょう。
こんなイメージです。ラコビーが下に潜ったりして可愛いです😍
③水面に浮かべて浮き草として使う
逆にウィローモスマットが浮いてきたらそのまま浮かべて使う方法があります。マットの形状が平たいのでそもそも浮き草代わりに最適です。ただ放ったらかしでよいので最も気をつかわないです^_^
ただ、フィルター等で水を循環させている水槽だと、ウィローモスマットが水面の流れに合わせて水面をあっち行ったりこっち行ったりぐるぐると漂います。これもまた一興なのですが、気になる方は水槽の壁面に小さなS字フックをひっかけて、片方にウィローモスマットのネットの穴を引っかけて横移動しないようにしたり工夫するとよいと思います。
④立て掛けて使う
ウィローモスマットは平たいからといって面を下向きにしなければいけないわけではありません。面を縦に使うことで水槽内に独特の雰囲気を演出することができます。
別の記事でご紹介していますが、私はベアタンク水草水槽で透明なグラスの鉢植えを使っています。このグラスの壁面からはグラスの中のソイルや有茎草の根が見えます。それはそれで気に入っているのですが、ウィローモスマットを使って雰囲気を変えることができます。
方法は、ウィローモスマットを垂直にしてグラスの壁面に立て掛けるだけです。ウィローモスの壁ができてグラスの中身が隠れます。水底の掃除などを考えてモスマットに可動性を持たせておきたいので、私はただ立て掛けて使っていますが、こちらもフックなどでグラスの側面に引っかかる、または吸盤でグラス自体にくっつけてみても面白いと思います。
モコモコになってきました^_^
以上、ウィローモスマットはただウィローモスを育てるためというだけでなく、本当にいろいろな使い道が考えられる優れものだと思います。
例として、この自作ウィローモスマットをアレンジして隠れ家となるウィローモスシェルターを作ってみました。こちらの記事でご紹介しています。
アクアリウムには熱帯魚の隠れ家が必要熱帯魚を飼育していると水槽の中には隠れ家が必要だなぁ、と思う瞬間が何度もあります。いろいろな魚を混泳させた水槽は見ていて華やかで楽しいですが、一方で、違う魚種同士や同じ種類の熱帯魚でも、からだ[…]
これからもさらに試行錯誤しながら、アイデアをたくさん試してまたご紹介したいと思います^_^
その他、ベアタンクでの水草育成のアイデアはこちらの記事でもご紹介していますのでよろしければご覧ください。
リシアの魅力と特徴リシアはアクアリウムの前景用に使われる水草で、明るい緑色の芝生のような水面レイアウトを演出することができるためとても人気があります。正確に言うとウキゴケという苔の仲間ですが、一般的には水草として扱われていますの[…]
工夫して好きな水草を育てよう!ベアタンク水槽での水草育成については、制約がありながらも工夫しながら実現可能だとご説明しました。卵生メダカを育てながら、自分の好きな水草を植えたい気持ちも大事にしたいですよね。今回は私が試行[…]
憧れの水草いっぱいの森アクアリウムといえばカボンバやハイグロフィラなど有茎草をいっぱいに植生させて森林を作るのはアクアリストの夢ですよね。熱帯魚と水草はやはり切っても切れない抜群の相性で、私も長年の熱帯魚飼育歴の中で水草水槽に何[…]