水槽のコケ取り方法 〜ベアタンクで学ぶ予防策・コケ取り生体と道具〜

水槽のコケ取り方法はベアタンクから学べ!

熱帯魚飼育で厄介な事のひとつにコケ(苔)対策があります。

水槽壁面にこびりつくように着くコケ、水草のまわりをコーティングするように着くコケ、ヒーターやエアチューブ、その他水槽内にあるもの全てをコケの緑色が覆っていきます。

私はベアタンクを採用していますが、露出しているガラス面が多いためコケが一層目につきます。

毎日の鑑賞時に一番目につくのは水槽正面のガラス面を覆うコケでしょうか。ほとんどのアクアリストが頭を悩ませていると思います。

背面や側面は水草をたっぷり入れることでなんとか隠すことができますが、繁殖用の小型水槽などではそんなに多くの水草を入れられず、むき出しのガラス面のコケが目につきます。まぁ、水草で隠せたとしても、コケはどんどん増えるので根本的な解決にはならないです。

また底砂を敷かないベアタンクでは水槽底面もガラスむき出しなので、ここにも同様のコケがつきます。

ベアタンクの底面や背面にクリアなガラス面が露出していることは、アクアリウムの演出としてとても魅力なメリットです。上からの照明が底や背面のガラスに反射して水槽内全体が明るく輝くため、水もクリアに輝いて見えて綺麗な水槽が演出できます。

その分、コケが目立ちやすいデメリットもあるというわけですね😅

そんなベアタンクだからこそ、私はコケの発生を抑える予防策とコケが発生した時のコケ取りの方法について徹底的に研究して、今ではコケは恐れるに足らないという境地に至りました😄

今回は私の飼育環境で実践しているコケ取りの方法について詳しくご紹介します。もちろんベアタンク以外のどの水槽にも有効な方法なので、コケに悩まされている方の参考になればと思います。

コケの種類について

まずはじめにコケの種類について触れておきます。

コケにはいろいろな種類があります。緑色のコケ、黒いコケ。糸のようなコケ、水槽壁面に斑点のように着くコケ、水中にぼやーっと靄がかかったようなコケ…。

これらをいちいち覚える必要はありません。コケマニアの方なら別ですが、私たちはメダカマニアなので^_^

覚えなくてよいというのは、どのコケでもコケ取り対策としては同じだからです。色や形状や発生する場所は違っても、コケはコケなので個別の対策は必要ありません。これからご紹介する対策は全てのコケを対象にしています。

とはいってもイメージがしにくいと思うので、ベアタンク小型水槽で発生しやすい代表なコケを2つご紹介しておきます。

一番多いのが水槽のガラス面に着くこのコケです。斑点のようにガラス面に広範囲に発生します。水草や石などにも着くことがあります。

ベアタンクの命であるガラス面の視界を遮る最大の的です(笑)

次によく見る厄介なのがこのコケです。画像の下の方で緑のヒゲもじゃになっている部分です。

このコケは水草のまわりに発生して水草を包み込んでしまい、こうなってしまうと分離するのが不可能に近い嫌なコケです。

コケが発生する原因

次に、コケがどうやって発生するのかを説明します。その原因を知って対策をとればコケに悩まされることから解放されます^_^

水槽内でのコケの発生の原因は、水槽内にコケが成長する養分と光量がありすぎるからです。

コケも植物なので養分と光を吸収して成長します。正確には、盆栽や野外の湿った場所にある侘び寂びのある苔とは種類が違い、水槽内に発生するコケは藻の仲間になりますが、その成長において養分と光を必要とする点は同じです。

ひとつひとつ詳しく解説します。

1.養分がありすぎ

コケの養分は何でしょうか? 答えは、植物なので水草と一緒です。

コケは水草同様、底砂や水中にある、生体の糞、餌の残りなどから生まれる窒素・リン・カリウムなどの物質を養分として吸収して成長します。

じゃあコケが育たないようにしたら水草も育たないじゃん!と思うかもしれません。

ただ、コケよりも水草の吸収スピードの方が圧倒的に早いので大丈夫です。コケは水草が養分を吸収して残った養分で成長します。

ここがポイントです。水槽の養分を水草の成長に必要なだけにしてあげればコケは成長できません。

コケが発生している水槽は、魚の糞や残餌が多く、時には水草育成に必要なソイルなどの底砂や水草育成用の液体肥料なども入れたりと、養分が水草が消化しきれないほど過剰過ぎる状態になっています。ちなみにこれを富栄養化といいます。

水槽内の不要な養分を取り除いて富栄養化を解消すればコケは消えます。

2.光量がありすぎ

コケも水草同様、光合成をしながら成長します。

コケが発生している水槽は、光をあてる時間が過剰になっています。ただ、光は養分と違い水草が先に光を全吸収することなどできません。

コケにあたる光をゼロにはできないものの、光の照射を水草が必要な最低限の時間にすればコケは減ります。

ベアタンク小型水槽でのコケの予防策

いよいよ本題のベアタンク小型水槽でのコケの発生を抑える予防策を具体的にご説明します。先ほど解説した通り、養分過多と光量過多がコケ発生の原因なので、この2つを減らすことが予防策です。

⬜️養分過多の対策

●水草を入れる

ベアタンクでは底砂が無いので水草を使わない方もいらっしゃるかと思います。しかしながら、水草は水槽内の養分をコケよりも積極的に吸収してくれるので必ず入れたほうがよいです。

底砂が無いベアタンクでも工夫次第でいくらでも水草育成はできます。詳しくはこちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。

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●不要物をスポイトで吸い出す

こちらはベアタンクのメリットを活かした方法です。

底砂を敷いた水槽の場合は糞や残餌などが底砂に入り込んで堆積してしまいます。もちろんそこに水草を植え込んで育てる分には養分のある土壌で最高ですが、逆に水槽内は常に富栄養化の危険をはらんでいます。水換え時に底砂クリーナーのポンプなどで掃除をしたことがある方ならお分かりの通り、真っ黒な水が吸い出されます。かといって吸い出せているのはほんの一部でほとんど綺麗になっていません。

この点、ベアタンクでは底砂が無いのでこのような富栄養化の危険はかなり低いです。また底砂が無いので糞や残餌などの不要物が水槽の底で目に見える状態にあるため、不要物を簡単に除去することができます。

このブログでも卵生メダカの飼育方法としてご紹介している通り、毎日の餌やり時にその日の餌の残りとともに汚物をスポイトで吸い出します。汚物というのは、魚やラムズホーンの糞、枯れた水草、メダカが繁殖行動でまき散らしたピートモスなどです。水槽の底の目につくところを大きめのスポイトで一気に吸い出して捨ててしまいます。

この作業は大変に感じるかもしれませんが慣れてしまえば癖になります。私も最初は面倒くさい日もありましたが、大きめのスポイトを使うようにしてから作業が格段に楽になり、あっという間にみるみる綺麗になるので今ではやらないと気が済まないくらいです。小さなスポイトではダメです。 おすすめのスポイトをご紹介しておきます。必需品です。

水槽底面に沈殿したごみや残り餌の除去、ミニ水槽の水換えなど、水槽のちょっとした掃除に最適なスポイト

このスポイトにはロングタイプもあります。水槽をラックから出さずに水槽の奥の方の水を吸い出す時は、このロングタイプが大活躍します。ちなみに私は2タイプとも揃えて使い分けています^_^

吸い出した水の量は新しい水を足すのですが、これは毎日でなくてもよいです。25センチ水槽で先程のスポイトで2〜3回吸い出すとだいたい500mLほど減りますが、2〜3日に1回、ちょっと減りすぎかな?と思った時に水道水に塩素中和剤を入れた新しい水を足す形で大丈夫です。

これを日々行っていれば大きな水換えも必要ありませんし、コケからも解放されます。

⬜️光量過多の対策

●照明は必要最低限しかつけない

コケに光合成させないために光の照射時間を必要最低限に絞ります。必要最低限というのは、水槽に入れている水草が成長に必要とする時間だけ点灯するということです。

私の経験則から、1日5時間照明を点灯すればほとんどの水草は枯れずに成長します。中にはリシアなど光量を多く必要とすれ水草もありますが、それでも8時間の点灯で充分成長します。これで成長しない場合は他の理由(照明自体が暗い、養分が足りない、光合成に必要なCO 2が足りない)が原因です。

毎日5〜8時間の照射を計画的に実行するには、人間の手で照明のスイッチをオンオフするやり方では正直難しいです。今は便利なタイマーがありますので活用しましょう。使い勝手のよいタイマーをご紹介しておきます。

スイッチを簡単に自動で「入/切」できるタイマーです。一度のセットで繰り返し毎日、または曜日ごとに設定が可能です。

補足ですが、人間の生活リズムと水槽の消灯・点灯サイクルを合わせる必要はありません。自分が朝起きたら水槽も点灯し夜寝る前に水槽も消灯するようにしている方がいますが、これでは点灯時間が長すぎます。日中は仕事で外出し夜に水槽を鑑賞するような方が多いかと思います。その場合は夕方から夜の5時間だけ点灯するようにタイマーをセットしましょう。

⬜️コケ防止剤を使う

それでもコケが止まらないという方には、市販のコケ防止材を使うという技もあります。しかしこれはあくまで上記の養分過多と交流過多の対策を行いながら併用する形で使用してください。基本的な対策をおろそかにしても根本的な解決にはなりません。

コケ防止材はコケのタイプによりいろいろな種類が市販されていますが、いちいちコケの種類に合わせて用意するのは非効率でコスパも悪いですので、総合的にコケを退治できるものを選ぶとよいです。万能型のおすすめコケ防止材をご紹介しておきます。

 

○あらゆる緑藻類の発生予防にすぐれた効果を発揮します。(約1ヶ月間)○飼育水、ガラス面に発生するコケを抑制し、水槽内を美しく保つことができます。

おすすめ!コケ取り生体

ここまではコケを発生させないようにする予防的な方法をご紹介してきましたが、ここからはそれでも発生してしまったコケを退治する方法をご紹介します。

まずはコケ取り生体の導入です。

水槽内にコケを食べてくれる魚・貝・エビなどの生体を入れる方法で、熱帯魚飼育においては常識にもなってきています。

ただ、このコケはあの生体が食べるから入れよう!などとあまり神経質に考えてしまうと水槽中がコケ取り生体だらけになります^_^

今回、コケの種類を問わず食べてくれて、小型水槽に合うサイズの小さい種類で、比較的安価なコケ取り生体を、魚・貝・エビの仲間からそれぞれご紹介します。

●魚のコケ取り生体 オトシンクルス

南米原産の小型ナマズの仲間です。吸盤のような口で水槽壁面や、水草表面のコケをなめ取るように食べ、茶ゴケに対して非常に効果的なクリーナーフィッシュです。

●貝のコケ取り生体 レッドラムズホーン

コケ取りに大活躍! 殻長0.5から1.5cm程度。どんどん殖えます。

●エビのコケ取り生体 イエローチェリーシュリンプ

チェリーシュリンプの改良品種です。

赤いレッドチェリーシュリンプも仲間です。お好みのカラーを選べるのもよいですね。

ひとつ注意点としては、エビの仲間はガラス面のコケを食べるのは苦手で水草についたコケは得意です。できればオトシンクルス、ラムズホーンいずれかとシュリンプを併用すると最強のコケ取り生体水槽になります^_^

優れもの!コケ取り道具

コケ取り生体をもってしてもまだコケが気になる場合は、自力でコケを排除してしまう方法があります。

ガラス面に発生したばかりのコケは、食器洗い用のスポンジなどで擦ればとれます。

ただ、発生後、数日経ったコケはなかなかとれずに厄介です。ガラス面に着いた頑固なコケをとるには、固いものでガラス面を擦り削ぎ落とす作業が必要です。

コケ取り用の道具は何種類も市販されていますが、ベアタンク小型水槽でのコケ取りを前提に考えた場合、小回りがきくコンパクトサイズのものを選ぶとよいでしょう。おすすめのコケ取り道具をご紹介します。

究極のコケ取り。複数のシートがコケを取る。水槽にキズが付きにくい。先端R加工で曲げ水槽にもフィット。

ベアタンクは水槽の底面にもコケが着きます。これを削ぎ落とすには、小型水槽の中に入るコンパクトさと、力が少なめでもコケを落とす機能性が必要になります。その点でこのアイテムは使い勝手がよくて◎です^_^

一方、水草についたコケの場合は水草を痛めずにコケ取りをしなければならないため少し厄介です。指でつまんだりこすったりすると少しはとれますが、残念ながら100%綺麗にすることは難しいです。

あまり光を必要としない陰性水草の場合は、別のプラケースに水草だけを移して新しい水を入れ、照明を暗くして数日放置しておくとコケはだいぶ減ります。

また、水草はまた成長するので、コケの生えた部分を思いきってトリミングして捨ててしまうのがおすすめです。最終手段ですね^_^

以上、ベアタンク小型水槽のコケ取りについて、深〜く掘り下げて解説しました。底砂を敷いた水槽も同じ対策でオーケーですが、底砂に腐敗物がたまると養分過多になりやすい点に注意するとよりよいです。

また、これを機会にベアタンクに興味をもたれた方は、こちらの記事でベアタンクのメリット・デメリットを解説していますので、ぜひご覧いただけたらと思います。

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