野生の卵生メダカたち
卵生メダカは日本ではなく海外出身のメダカたちです。
現在では、輸入のおかげで日本を含め世界のさまざまな国で彼らの姿を楽しめるようになりました。
ただ、近年は一部品種が絶滅の危機に瀕しているというニュースもあります。私たち愛好家は、累代繁殖を行い危機的品種の維持をしていきたいものです。
一方で、これらの生息地からは今でもなお、新たな品種やタイプが発見されることもあります。
野生の卵生メダカは、いったいどのような環境で、どのようなライフサイクルで生活しているのでしょうか?
自然界における卵生メダカの生態を知ることは、水槽内での飼育をする際に大きな助けになります。
では、年魚のノソブランキウスを例にとって、彼らの生態を見ていきましょう。
卵生メダカの生態
卵生メダカは、もともとは南米や南アフリカの小川に生息しています。
例えば、ノソブランキウスは東アフリカのタンザニアやケニアの湿地帯の小川に生息しており、住んでいるエリアによって色彩や大きさなどがそれぞれ異なります。これらは名前に地域名をつけて区別されています。
↑こちらはノソブランキウス エガーサイ ラサバ TAN19-24
※TANはタンザニアで採取されたという意味。
熱帯地域ということで、これらの小川に生息する彼らの生活環境はまさに熱帯魚^_^
年中、気温は日中30度を超え、夜でも25-26度を切らない毎日が続くため、彼らは日中は木の生い茂った日陰の暗くて少しでも涼しい場所を好んで暮らしています。
また、彼らが過ごす小川はもともとそれほど速い流れではありませんが、彼らはその中でも極力流れのない、淀みやくぼみにあたる場所を好んで選びます。
理由は、これらのゆるやかな落ち着いた環境は、餌になる微生物がわきやすいこと、水面に落ちてきた虫なども流されないため捕食しやすいことなどが挙げられます。
結果、彼らは熱帯魚の中ではあまり泳ぎが得意でないかな、と思います^_^
彼らのいる小川の水底は堆積した砂や木屑などが堆積してできた泥です。これらの泥の影響で小川の水質はやや酸性寄りです。ただ小川のある地域によってその度合いはさまざまです。
しかし、この水は豊富な微生物と水生生物や植物に恵まれ、自然環境のバランスの取れた卵生メダカにとって暮らしやすい水質だといえます。
この環境の中で、オスとメスは繁殖を行いDNAを次世代に繋ぎます。
オスがメスを抱えこむように身体をすり寄せメスの産卵を促し、水底や水草へのメスの産卵に合わせてオスは放精し、産みつけられた卵は受精します。
卵は数ヶ月後に孵化し稚魚は微生物を食べて成長していきます。
年魚の繁殖の神秘
また、卵生メダカの一部、「年魚」と呼ばれる種類には、この産卵から孵化に至る生態にとても興味深い特徴があります。
※年魚とは、ノソブランキウスに代表される種類です。
「年魚」というのは、生まれてから繁殖し寿命を終える期間が約1年程度である短命な魚のことで、1年で寿命を終える理由はその環境からくる生態にあります。
アフリカの熱帯雨林では1年の中で雨季と乾季を繰り返します。
それまで自分たちがいた水源が干上がって親の生命は終わりますが、産みつけた卵はその生命力を保ち乾季を卵の状態で乗り切り、来る雨季に一斉に孵化し新たな活動を開始します。
詳しくは、こちらの記事で詳しく解説していますので、合わせてお読みください。
年魚の特徴卵生メダカには年魚と非年魚が、います。年魚は、ノソブランキウスに代表される、その名の通り一年しか生きられない魚たち。非年魚は、アフィオセミオンに代表される、もう少し長生きできる種類です。違いはこの点だけ[…]
以上、卵生メダカの生態は他の熱帯魚に負けないくらい特徴的で魅力的です。興味をもたれた方は他の記事もぜひご覧いただけると幸いです。