熱帯魚の成長促進策 〜成長しない熱帯魚の成長速度を劇的に上げる方法〜

なかなか成長しない熱帯魚の成長を促進しよう!

今回は、熱帯魚飼育でよくある成長の遅い個体の成長速度を上げる方法をご紹介します。

これは卵生メダカの飼育でよく行っている方法ですが、他の熱帯魚でも同じように成長促進することができますので、同じような悩みを持たれている方の参考になればと思います。

私の大好きな卵生メダカの年魚は、1年という短い寿命の中で、急速に成長し、卵を産み、次世代へその生命を繋いでいく熱帯魚です。これを自分の水槽の中で見守り累代繁殖をしていくことが、卵生メダカ愛好家とはしては最大の喜びですが、稚魚をしっかり成長させて丈夫で元気な種親ペアを確保し、確実に次の世代に向けた繁殖・産卵のサイクルをまわしていくには、飼育にそれなりの注意や工夫が必要です。

そもそも卵が採れなかった場合はもとより、生まれた稚魚の数が少なかったり、餌を食べずになかなか成長しなかったり、ベリースライダーのように先天的な障害がある稚魚であったり…と、その時々でさまざまなアクシデントが世代が絶える原因になります。

また、よくあるのがペアがつくれない場合です。オスとメスの偏りが激しく成魚まで成長する過程でオス・メスいずれかが成長不良で全滅してしまう、または稚魚の成長の個体差が激しくオスとメスの体格差がありすぎてペアが繁殖してくれない、といったケースです。

このような成長のバラつきは累代繁殖に致命的です。成長過程の早い段階で、成長不良の個体の成長促進を行うことが重要です。

それでは、成長の時期毎に具体的な成長促進の方法をご紹介します。

成長促進の方法(孵化直後〜生後1ヶ月)

まずは、生後間もない稚魚の時期の成長促進策です。

孵化したての稚魚はだいたい皆同じサイズに見えます。ただ、この時点で既に他の稚魚よりかなりサイズが小さい個体は先天的な異常であることが多く、それらの個体はほとんどの場合、その後成長を挽回することは正直難しいです。

人間でも赤ちゃんから乳幼児にかけて充分な栄養をあげることが重要なように、孵化直後から1週間が特に大切な期間です。この時期にできるだけ多くの栄養価のある栄養を与えて身体の基礎をつくることに徹しましょう。

餌は、生き餌で食いが良く管理もしやすいブラインシュリンプが最適です。ブラインシュリンプは毎朝新しいブラインシュリンプエッグスを孵化させるようにします。約24時間で孵化するので、翌朝孵化したての一番栄養価の高い状態で与えます。また、その時点で孵化していない卵は塩水につけたまま捨てずに翌朝まで置いておくと、かなりの量のブラインが時差で追加で孵化してきますので、昼間や夜にもこまめに稚魚に与えられるとベストです。

ブラインシュリンプの孵化方法はこちらで詳しく解説しています。

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生まれたての稚魚はブラインを食べるとすぐお腹がパンパンに膨らみます。画像でもオレンジ色に膨らんでますね。

ただ、消化も早く、1時間もするとまたお腹がペッチャンコになります。できれば、1時間毎に餌を与えたいところですが、水槽の前につきっきりでいることもできませんよね。

よく、熱帯魚飼育の鉄則として、餌は与えすぎないように、と言われます。しかし、私は稚魚にブラインシュリンプを与える時は、なるべくいつでも稚魚たちがブラインシュリンプ食べられように、一度に食べきれないくらいたっぷり与えます。これがポイントです。

ただ、この時は2つの点に注意してください。

①エアレーションを入れる

水槽中を泳いでいるブラインシュリンプも生き物なので酸素を消費します。当然、水槽の中は酸欠状態になりやすくなります。必ずエアレーションを入れて水槽内の溶存酸素量を確保してください。

エアレーションについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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②ラムズホーンを入れる

ブラインシュリンプは生き餌なので比較的水質に悪影響は与えませんが、ブラインシュリンプが死ぬとその死骸は水を汚す有機物となり水質を悪化させます。その対策としてラムズホーンを2匹くらい入れておけば、ラムズホーンの死骸を食べてくれて水質維持効果があります。

ラムズホーンについて詳しくはこちらの記事で解説しています。

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②餌やりの時に糞を吸い出して、新しい水を足す

水質悪化には気を配る必要があります。水槽悪化の一番の大敵は魚の糞です。毎回餌やり前にはスポイトで底に溜まった糞を全て吸い出してください。その分だけ水位が下がるので、新しい水を足し水すれば常に衛生的な水槽を保てます。

こうして生後1カ月まで栄養をたっぷり与えて育てると、餌を取れずに成長不良になる稚魚も少なくなり、比較的均一な成長が望めます。

この方法は、ベアタンク水槽の管理方法として日常的におすすめしている方法です。こちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。

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成長促進の方法(生後1カ月以降)

生後1カ月頃になると稚魚はだいぶ魚らしいしっかりした体格になって、そして早いものはだんだん体色が色づいきて雌雄がわかるようになってきます。

成長促進の方法をご紹介する前にちょっと休憩して、生後3週間のノソブランキウス エガーサイの稚魚の様子を動画でご覧ください。

この稚魚は、ヒレに白い縁取りが出てきて、光のあたり具合によってはブルーが透けて見えます。オスだと思われます。

さて、ここから生後2ヶ月までは、個体による成長の差が出やすい時期です。餌を食べる量も増えるのでアカムシに切り替えますが、個体間の強弱関係が出てきて餌を得る量に格差が出てきます。これは身体の大小の差というよりは主には性格の荒さの違いからくる格差で、弱い個体は餌を取れずに成長が鈍化します。

このまま放置していると、どんどん他の個体との体格差が生じ、今後控える繁殖の際にペアのパートナーとのバランスが悪くうまく産卵が行われない可能性があります。

この時の対策としては、まず餌を取れない個体を隔離することです。別の容器を用意して別途VIP対応で育ててあげるようにします。

さらに、他の個体とかなり体格差が生じてしまった個体には、成長促進の超VIP対応を施します。

私のおすすめは、サテライトにその個体を隔離して、しばらくサテライト内にブラインシュリンプを充満させて育てる方法です。

サテライトとは、これです。

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成長を加速させるためにはアカムシよりブラインシュリンプの方が栄養価が高く有効ですが、体調1センチを超えた稚魚はかなりの量を食べるので、できるだけ小さい容器の中でブラインシュリンプを食べたい時に食べれるだけ与えることで急成長します。

できるだけ小さい容器にするのは魚が口を開ければブラインシュリンプが食べられるくらい充満した環境にするためですが。容器の水量がかなり少ないため水質悪化しないことが大前提になります。サテライトはエアポンプをつなぐことで親水槽と水を循環させることができるので最適です。

親水槽(他の稚魚がいる元々の水槽)にサテライトをひっかけ、エアポンプをつなぐと親水槽の水草がサテライト内に入り、逆にサテライト内の水が親水槽に出ていく循環が作れます。

餌やりの際は、隔離した魚がいるサテライトの中だけにブラインシュリンプをたっぷり入れます。魚はパクパク好きな時に好きなだけ栄養価の高い餌を食べ、急速に成長します。

サテライトから親水槽に循環した水が出ていく時に少しづつブラインが流出しますが、親水槽の魚のおやつになりますのでちょうどよいです。

私は、昨年ラコビーのメスが1匹しかとれず、成長が悪く困っていた時にこの方法でメスを集中育成し、約2週間でオスと同じサイズにまで成長を加速させバランスを取りました。おかげで今その子どもたちが我が家の水槽で無事に泳いでいます。

この方法がうまくいったことで、累代繁殖が途絶えるリスクが減り、安心してよりアクアライフが楽しくなりました^_^

ぜひ、参考にしていただければと思います。

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