稚魚の栄養の味方!冷凍ブラインシュリンプ
卵生メダカに限らず、生まれてからの約1ヶ月間はその後の成長にとってとても大切な時期です。
成魚であれば、数日餌が少ない日があって栄養不足になったとしても、お腹がペッタンコになりちょっと元気がなくなるくらいで、またお腹いっぱい餌を与えれば復活してみるみる元気になります。
ところが、成長期の稚魚にとっては1日1日が将来の身体づくりをする貴重な時間なので、1日でも餌がなく栄養不足になるとその分の成長が遅れるだけでなく、さまざまな問題が生じる事が多いです。
具体的には、その後の餌喰いが悪くなったり、何ヶ月たってもサイズが大きくならず色柄も出なかったり、繁殖行動をしなかったり、正魚の姿を見る前に早期に死んでしまうケースさえあります。
稚魚にはやっぱり毎日ブラインシュリンプ!
オレンジ色のお腹が栄養満点のしるしです^_^
ブラインシュリンプの孵化方法についてはこちらの記事で解説しています。
ブラインシュリンプとは?熱帯魚の稚魚育成用の餌として欠かせないブラインシュリンプ。今回は、ブラインシュリンプを扱うにあたって知っておくべき基礎知識と、ブラインシュリンプの卵の孵化方法から稚魚への与え方まで解説したいと思います。[…]
前段が長くなりましたが、そんなブラインシュリンプを冷凍保存して簡単に与えられるようにしたのが「冷凍ブラインシュリンプ」です。
その与え方・使い方のコツをご紹介する前に、冷凍ならではのメリットとデメリットを考えてみましょう。
冷凍ブラインシュリンプのメリット
①いつでも使える
なんといっても冷凍の良さは長期保管できることです。
自分で卵から孵化させた生ブラインもうまくすれば1ヶ月くらい維持できますが、保管温度の維持や酸欠にならないやよう管理が非常に大変です。また、だんだん成長してしまうので稚魚の口に入らない大きさになってしまうのが一番の難点です。だから毎日ブライン幼生を孵化させることが日課になります。
冷凍ブラインにもいちおう賞味期限はありますが、だいたい1年半〜2年先が期限となっているので、買いだめておけば安心していつでも使えます。賞味期限はあくまで目安で極端に古くなければ過ぎても問題なく使えるので、事実上半永久的に稚魚の餌が常備できる感覚です。もちろん、ブラインのサイズは購入時のままなので安心です^_^
②簡単に使える
ブラインシュリンプを卵から孵化させる作業は慣れないとなかなか面倒くさいものです。毎日卵を塩水に入れてセットしなければなりません。その際は塩分量や卵の量を適切に計って入れる必要があります。与える時もブラインの幼生だけを殻と分離させて与えてなければなりません。
冷凍であれば至極簡単です。水に溶かしてスポイトで与えるだけ。
この手間の違いはかなり大きいです。
③量の調整が楽
稚魚の数や成長度合いによって魚の食べる量は変化します。
ブラインを孵化させすぎて残ってしまった場合は、捨てるのはもったいないし保存が難しいし頭を悩ませます。かといって魚に与えすぎると水質悪化で稚魚全滅、なんてことになりかねません。また、逆に足りなかった場合は新たに孵化させるしかないため、24時間近く稚魚ちゃんたちに空腹を味わってもらうことになります。
冷凍の場合は、小分けのブロックを必要な量だけ使えばよいので楽ちんです。
稚魚が物足りなそうな場合は、いつでも即追加で与えることができます。
冷凍ブラインシュリンプのデメリット
①魚の成長スピードは生ブラインに劣る
冷凍ブラインは冷凍保存しているので腐りはしませんが、当然ながら死んだ状態です。さすがに生きたブラインシュリンプと比較するとその栄養価は劣ります。
また、魚の餌喰いについても、水中で動く生ブラインにはかないません。
結果、魚の成長スピードについては 「 冷凍ブライン < 生ブライン 」になります。やはり、できればブラインは孵化させた方がよいです。
②冷凍庫が必要
冷凍保存が必要なため、魚に与えた後は毎回冷凍庫に保管しておく必要があります。
通常の家庭用冷蔵庫の冷凍室に入れておけばよいのですが、これがなかなか曲者です。自分たちが口にする食品類と一緒に冷凍室に入れることに抵抗がある方もいますし、熱帯魚好きの自分はよくとも家族の理解が得られないケースも多いと思います。
また、冷凍室を使わせてもらえても、台所にある冷蔵庫と水槽のある場所は離れている場合がほとんどなので、毎日の餌やりの際はちょっと不便だったりもします。
③水質悪化しやすい
冷凍ブラインはその名の通りブラインシュリンプをそのまま冷凍したものではありますが、解凍した時に1匹1匹が明確に目に見えるわけではありません。
冷凍ブラインは水中に入れると水に溶け出してしまうので、魚にブライン栄養水を与えているというイメージに近いです。
だから水中に残った冷凍ブラインを取り出すことは事実上できません。生ブラインと比較して水が汚れやすいので使い方に注意が必要です。
冷凍ブラインシュリンプの使い方
メリットもデメリットもある冷凍ブラインシュリンプですが、熱帯魚特に稚魚飼育の際にはとても重宝するので、私は用意しておいて損のない優れものだと思います。
飼育環境にもよりますが、冷凍ブラインの具体的な使い方・使用シーンには以下のような例が考えられます。
■餌喰いの悪い魚に与える
フレークや粉末などの乾燥飼料で熱帯魚を飼育していると、餌喰いが悪くなる時があります。そんな時、冷凍ブラインに切り替えると餌喰いがよくなる事があります。また、たまに栄養価の高い冷凍ブラインを与えることは魚の成長にも好影響があります。
■孵化させたブラインシュリンプの量が足りなかった時に与える
稚魚の餌には孵化したてのブラインシュリンプが最適ですが、せっかく孵化させたブラインの量が少なくて稚魚に行き渡らない場合があります。ぐんぐん成長する稚魚は食べる量も日に日に増えていくので、毎回適量を孵化させるのはなかなか難しいですよね。そんな時、足りない分を冷凍ブラインで補えばリカバリーできます。
また、ブラインを孵化させていると時折ミスや不慮の事故で孵化に失敗することもあります。エアレーションが止まってしまっていたり、塩を入れ忘れていたり、誤って床にこぼして使えなくなってしまったり…。そんな時にも冷凍ブラインがあれば安心。代わりにお腹をすかせた稚魚に与えることができます。
■餌やり作業が面倒くさい、と思った時に与える
毎日の餌やり作業は大変ですよね。乾燥飼料であればまだよいですが、生き餌をあげる時はもちろんのこと、一般に成魚の餌としてよく使われる冷凍アカムシも、解凍して、スポイトで与えて、食べ残しがあれば取り出したり…ちょっと手間がかかります。
稚魚にはブラインシュリンプを、前日から孵化させて、与えて、明日の分をまたセットして…。大切な作業ですが、今日はちょっと面倒くさいなぁと思うことありますよね。
そんな時は水に溶かして与えるだけの冷凍ブラインが最適。餌やり作業が至極簡単です!朝餌やりの時間があまり取れない時、夜遅く疲れて帰ってきた時などにおすすめです。
冷凍ブラインシュリンプの与え方のコツ
ここからは、私のおすすめの冷凍ブラインシュリンプとその与え方のコツについて触れておきます。
冷凍ブラインには、ブラインシュリンプの成虫を冷凍したもの、ブラインシュリンプの幼生を冷凍したもの、の2種類があります。前身は成魚に与えるにはよいですが、稚魚にはサイズが大きすぎて向いていません。
多くの方は稚魚中心に与えることが想定されるため、サイズが小さくより栄養価が高いブライン幼生の方をおすすめします。幼生は成魚もパクパク食べますしね^_^
市販の冷凍ブラインはいくつかのブロックに小分けされたシート毎に販売されています。このブロックのサイズはできるだけ小さいタイプがおすすめです。実際の餌やりシーンではたった数匹の稚魚にだけ与えるような場面も多いです。そんな時、1ブロックのサイズが小さい方が無駄なく使えるからです。
私が使っているその条件を満たした冷凍ブラインはこちらです。
1ブロックのサイズよりもっと少量にして与えたい場合は、ブロックをハサミでカットして必要なだけ使い、残りはまた保管しておけば無駄がありません。冷凍ブラインはカチカチで固いので指を切らないように気をつけて。心配な方はビニール袋に入れてハンマーで叩いて砕くとよいです。
実際に魚に与える時は、必要な数のブロックを冷凍庫から取り出して、水に溶かしてスポイトで水槽の中に噴射します。もっと楽にしたければブロックのまま水槽に入れてもかまいません。水中で勝手に溶けて稚魚たちの餌になります。
冷凍ブラインを与えてみても魚が食べる気配が見られないことがあります。冷凍ブラインは水中で明確に1匹1匹を確認しにくいため不安になりますが、魚が口をパクパクしていれば大丈夫です。また、どの餌でも初めて与えた時は警戒して食べないことがあります。その場合、孵化させた生ブラインと同時に冷凍ブラインを与えると違和感なく食べ始めるようなので是非試してみてください。
デメリットの項目で記載しましたが、気をつけなければならないのは餌のやり過ぎです。冷凍ブラインは水中に漂って魚たちはそれを食べますが、ブラインの量が多過ぎると水が白濁し水質が悪化します。このままにしておくと病気や不調の原因になりますので、通常時より多めの水換えをおすすめします。私の場合、冷凍ブラインを与えてた後は水槽の1/3を換水するように心がけています。
最後に。冷凍ブラインは冷凍庫に保管しておく必要があります。台所の家庭用冷蔵庫の冷凍室に入れておいてもよいですが、毎日の餌やりを考えると熱帯魚専用の冷凍庫を用意して水槽近くに置いておくことをおすすめします。
おすすめの小型冷凍庫をご紹介しておきます。
ちょっと初期投資はかかりますが、私はこれで飛躍的に餌やり作業のストレスが減りました。
以上、今回は冷凍ブラインシュリンプについて掘り下げて解説しました。まだ使ったことがない方はぜひ試してみてください。